新格闘技「巌流島」について(第1回公開検証大会後)

日本で新しい格闘技イベントがスタートした。『巌流島』。正直、現状の思いは半信半疑だ。今のところ格闘技をやりたいのか、格闘技を使ってバラエティを作りたいのかわからない。格闘技が盛り上がって欲しいと応援したい気持ちがある一方、駄目だと決めたらすぐ辞めちゃうんでしょ?という不安が行ったり来たりだ。まず名前が、これは巌流島に限ったことではないが日本の格闘技はどうも、うーん、、、。となってしまう名前が多い。センス・・・。

巌流島はファンと一緒に作るというのを最初から大きく打ち出し、ホームページ上で議論の場を設けている。しかしそれも最初知った時は逃げ口上のように聞こえた。一緒に作ると非常に耳障りが良い言葉だけに、反面「みんなの意見で作ったんだから見て下さい」とも聞こえた。コンテンツに対してファンには責任が無い。だから初めからそれを高々と謳うのは、運営側の自信の無さにも見えた。

ルールに関しても色んな競技の人が活躍できるようにという割には、「寝技なし」だったりと「?」な部分もある。そこはやはり地上波での放送を目指すということで、分かりやすさ重視なのだろうか。

と、あーだこうだと言い出したら止まらなくなるが、ここまで構えてしまい素直に簡単にノレないのは、これまでの日本格闘技の歴史を見てきた疑心暗鬼からくるものだと自戒する。要は傷付きたくないのである。


ただ、期待している部分も勿論ある。まず「ギ」に拘りが見えそうなところは注目したい。日本発の新しい格闘技ということで、今日のMMAの世界は「ノーギ」が当たり前の中、「ギの格闘技」というのは日本の武道、武術に通じるものもあり期待したい所だ。

かつて存在した「異種格闘技」というジャンルは時代の流れの中で、「総合格闘技」に変化していった。空手対柔道。ボクシング対プロレス。総合格闘技初期の頃はまだ「異種」の匂いは強かったが、十年足らずの恐ろしいスピードで総合格闘技は各々の分野のスペシャルな技術だけでは戦えない「MMA」という競技に成長した。ボクサーのままでは、空手家のままでは、勝てない。プラスアルファMMAの技術体系を習得しなくてはいけない。今はもうバックボーンがそのままMMAの格闘家も多い。その流れの中で異種の匂いは段々と薄れ、MMAは独自の格闘技競技として進化し続けている。それは「誰が一番強いのか?」という道。その道中で捨てた、あるいは落とした「一番強い格闘技は何か?」という「異種」の持つ高揚感と期待度。他流試合の興奮。巌流島はそのワクワク感を興そうという気持ちを感じる。

「お前と俺、どっちが強いか決めようぜ?」と「お前の柔道と俺の空手、どっちが上か決めようぜ?」では同じようで違う。

現在の世界のMMAシーンはスポーツ格闘技へと進んでいる。だからこそ広く認知されUFCはここまでコンテンツの価値を高める事ができた。その一方で日本の格闘技ファンは、プロレス格闘技のDNAを間違いなく持っている。よりその人間性や互いの関係、背景が濃い格闘技。だからこそ花道を大事にする日本の格闘技。巌流島は間違いなくプロレス格闘技に属すると思う。巌流島が興そうとしている世界観の中では、OUTSIDERの不良対武術の達人なんていう漫画やアニメのような構図だって可能に見える。

無理にかつての地上波K-1の煽りVのような「彼には負けられない理由があった」みたいなお涙頂戴のドラマにすることなく、強さを軸に武の闘いに焦点を当てていけば自然と面白味は発生していくと思う。

それからやはり、はじめからTV局がついているのは心強い。最初に言ったようなTV局だからこその不安もあるが、日本の格闘技は今までコンプライアンスで駄目になってきた歴史がある。その点はじめからTV局が制作ということは少なくともそこは大丈夫と信じたい。


第一回目のプレ大会が終わったところで運営側は、年内にあと3,4回大会を開き、最終的には大晦日の地上波で放送したいというコメントを出した。もし、実際に年にあと3回大会を開いたらこれは凄いことだと思う。期待値はグンと上がる。とにかくまずは続いて欲しい。せめて3年、そこで何か新しいモノが見えることに期待したい。

平成27年2月21日 Nicotina Menthole

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